年末から読んでいた「一般意志2.0」をようやく読み終えて、書評ならぬ、読後感想を書く気になった。 さて、ネット界ではけっこう読まれているような本書だが、霞ヶ関内でも密かに読まれているのではないだろうか、と思う。だが、小生もある席で「グーグルが政治決定をするという間違った内容」と評されているのを聞いたように、その内容が的確に理解されていない場合も多いのだろうと思っている。 ■小生の読み方 小生の読む限り、本書の主張は極めてシンプルである。全体は<分析>と<提案>に分けられると思うが、まず<分析>の主眼は①(ルソーの言う)「一般意思」とは社会の「無意識」のようなものであって、言語によって練られた意志決定の結果というより、個々の情念の総合化のようなものであること、②その「一般意思」は情報技術により可視化できる(一般意志2.0)のではないか、ということである。そのシンプルな主張を、東(以下、敬称略