東京電力福島第1原発の廃炉作業で、汚染水が滞留している場所を凍らせてふさぐ「氷の壁」が失敗した。4月から始めた凍結は、氷やドライアイスを入れても効果がなく、7カ月近くも時間を無駄にした。ネットの掲示板では「非常時に実験するな」「だから最初から言ったのに」などと酷評が飛ぶ。有識者は当初から凍らないと指摘していたのになぜ東電は断行し、なぜいま断念したのか。(原子力取材班) 「何だったのか」あきれる規制委 「凍結止水というのは一体何だったのか。これ以上不満を言っても仕方がない。次のステップへ進んでいいのか」 11月21日の原子力規制委員会の検討会合。東電が「氷の壁」だけでの止水の断念を報告すると、規制委の更田(ふけた)豊志委員はあきれ顔でこう話した。 福島第1原発2号機のトレンチ(地下道)には平成23年3月の事故直後から約5000トンの高濃度の汚染水がたまっている。トレンチは海に近く、流れ出す危