2012年7月21日に書いた文章(放射能汚染地図七訂版の裏面に掲載)を、その後獲得した知見で改訂します。 放射性物質にどこが汚染されるかを決めたのは風です。噴火によって火山から吐き出された火山灰は上空数kmから十数kmを吹く高空の風で移動しますが、原発から漏れ出した放射性物質は地表近くの風に乗って移動しました。当時の気象データを見ると、上空1km以上の風向きではこの分布を説明できません。放射性物質は高さ数十mの風に乗って地表をなめるように移動したと思われます。目に見えない霧が地表を移動して行ったとみなすと理解しやすいでしょう。等値線が盆地や山肌など地形の起伏を感じ取っているのはそのためです。 まず、2011年3月12日21時に南相馬を通過した放射能霧 (radioactive fog) が仙台湾を越えて、翌13日2時に女川を通過しました。さらに北上を続けて早池峰山を経て盛岡まで達しました。