「稲盛和夫」–今や、この人の名を知らない人は少ないだろう。ビジネス情報に疎い昨今の大学生でも知っている。今さらいうまでもないが、京セラの創業者で、破綻した日本航空(JAL)を無報酬で再生に取り組み、蘇らせた経営者である。松下幸之助氏は昭和の「経営の神様」と呼ばれたが、稲盛氏は平成の「経営の神様」と称されており、当サイトでもたびたび取り上げられてきた。 企業の経営、再建をめぐっては、どのようなケースでも評価は分かれる。稲盛氏もしかりである。JAL再建以前から稲盛氏に対してはさまざまな評価がつきまとう。稲盛氏を絶賛する一方で、稲盛経営の特殊性を非難するジャーナリストも少なくない。「濃い企業文化」を持つ企業にはありがちな評価だ。そのような情報、オピニオンは、すでに書き尽くされているため、今さら取り上げるほどの話題でもないだろう。 ましてや、そうした見方が核心を突いているか否かは、より経営を洞察す