“ノスラー”という言葉をご存じだろうか。昭和の薫り漂うノスタルジックラーメンのことで、あっさりしょうゆの澄んだ味わいが特色だ。二郎系、家系などこってりラーメン全盛の中で、このノスラーが静かな人気を呼んでいるという。実は日刊スポーツ新聞社のある東京・築地周辺はノスラーの名店の宝庫。その中からいくつか訪ねてみた。 築地周辺のラーメン店で“レジェンド”といえるのが、東京メトロ東銀座駅から程近い「萬福」。1929年(昭4)創業の都内屈指の老舗だ。「中華そば」にはチャーシュー、ナルトなどとともに三角形の卵焼きが載っている。スープの味や具材、具材の並べ方も創業時のままだという。 3代目店主・久保英恭氏(50)は「銀座に勤めて店に通われていた方が、退職後ぶらりと立ち寄ってくださることもあります」と言う。店は奇跡的に戦災を免れ、03年に建て替えられるまで風情ある木造の建物が残っていた。店内には、屋台から店