・快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 作家 津島佑子の自伝的な読書案内。太宰治の娘であるが故に、母親は娘を文学から遠い場所で生きるように導こうとした。文学は暗くて危険なものだと思い込ませた。結果として娘は本当のことを知りたい欲望から文学の世界へと引き寄せられていく。 性への好奇心が文学の入り口となり源氏物語、好色一代男、発禁処分の『チャタレー夫人の恋人』を英文で読んだ。長大な里見八犬伝を「壮大なでっちあげ」への感動で読破する。読んではいけない本、見てはいけない映画に夢中になる。あらゆるものから自由になるために。 「「背徳的」とはつまり、自分の生きている世界をしつこく疑い続けること、おとなたちが隠したがっていることを知りたがることなのだ」 凄く分かる気がする。私も自分の中学高校時代を振り返るとマルクスの資本論やジェイムズ・ジョイスのユリシーズなんかを訳も分からず読んでいた。危険な思