オブジェクト指向を論じるときに問題になるのは,関係する領域が異常なまでに広く深い,ということです。今回は一番基本的,逆に言えば一番普遍的でもある「オブジェクトとは何か」にテーマを定めて,議論していきたいと思います。 ビット処理から概念操作へ ソフトウェアはコンピュータ上のビット列を処理する命令語として始まりました。その命令自体も元々はビット列(機械語)だったわけです。これを少しでも理解しやすくしようと,意味のあるビット列にラベルやコードを付けて呼ぶようになりました。これがアセンブラ,あるいはアセンブリ言語と呼ばれるものです。そうこうするうちに似たようなコード列が頻繁に登場することに気づき,それらをまとめてサブルーチンとして呼び出して実行するというアイデアが生まれます(手続き型言語:Fortran, Cobolなど)。これにより小さな処理シーケンス(ロジック)の再利用が可能になりました。プロ