ITの農業利用、その本質とは? 農業の「匠の技」を可視化するAIシステム 施設内での栽培管理、直売所でのPOSシステム、選果場や集出荷場での品質・流通管理・・・など、農業にはさまざまな形でITが利用されているが、農水省はこれまでにない新たなITの活用方法として、ほ場データや篤農家の栽培技術などを総合的に分析し、技術の継承を支援しようという「AI」システムの実用化をめざしている。この「AI」システムについて、その概要と意義について考えてみた。 ◆篤農家の思い・直観をデータ化 「AI」とは、一般的な意味の人工知能(Artificial Intelligence)ではない。Agri Infomatics=アグリ・インフォマティクス、直訳すれば「農業情報科学」という造語だ。 慶応大学環境情報学部の神成淳司(しんじょう あつし)准教授が提唱したもので、ほ場や農作物にセンサーを取り付け、日々の環境変