あと2カ月で、東日本大震災から一年が経つ。マグニチュード9.0に及ぶ巨大地震、そして、10m超の大津波は想像を絶する大惨事をもたらした。それは放射能を撒き散らす原発事故も引き起こし、「想定外」という言葉がメディアを駆け巡った。 だが、人間の脳は「想定外」の事柄は「想定」できないはずである。「最大の災害は自ら招くものである」というジャン・ジャック・ ルソー(1712-78年)の格言とも関係するが、それは「想定の甘さ」がもたらす人災といっても過言ではない。 そして、もう一つの人災が近づいている。それは財政のマグマである。長期金利は1%前後だから、日本財政は大丈夫との「想定の甘さ」が広がっているが、利払い費の推移をみる限り、現実は厳しい。 利払い費の推移については、以前のコラム「膨らむ政府債務、金利低下ボーナスの終焉か」や拙著「日本破綻を防ぐ2つのプラン」(日経プレミアシリーズ)でも指摘した。