ソウルでの取材から早くも2カ月近くが経過した。このかんの歴史認識そして日本国憲法をめぐる激動は取材時には予想できなかったものだった。いや遅かれ早かれ時間の問題だったのかもしれない。前編でクォン氏が危惧していた「現実路線(歴史認識で日本が一定『反省謝罪』することで韓国など周辺国と『和解』するかわりに、2013年現在の『国益』を追求できる条件、自衛隊の国防軍化、集団的自衛権解禁を達成する)」は、「右側の暴走」というかたちで当面は実現不可能だろう。 9条を視野に入れた憲法改定が参院選の争点として本格的に浮上する一方で、アジア・太平洋戦争の「侵略性」に疑問が表明されたり(安倍晋三総理大臣)、「慰安婦」の存在を否定するのではなくその「必要性」が説かれたり(橋下徹大阪市長)といった歴史認識をめぐる従来以上に「右」に踏み込んだ発言が公人から連発され、韓国中国のみならず米国からも懸念が示されるなど、前編掲