「ニーチェ+大乗仏教でしょうか」 3月1日に亡くなった漫画家・鳥山明さんの代表作『ドラゴンボール』を宗教的、哲学的に読み解くと、何が言えるか。ポップカルチャーと宗教の関係に詳しい宗教学者の内藤理恵子・愛知県立芸術大非常勤講師に問うと、こんな答えが返ってきた。「強さ」を求めることについて、深い意味を読み取れるのだという。【聞き手・花澤茂人】 ニーチェの「超人」と比較すると 『ドラゴンボール』の物語は、中国の古典である『西遊記』、また日本の江戸時代後期の小説『南総里見八犬伝』にインスパイアされている。それぞれ仏教や道教、儒教などの要素を含んでおり、『ドラゴンボール』も宗教的な哲学や世界観がベースにある。もちろん、アレンジが斬新かつユニークなので作品のオリジナリティーは揺るがない。 一つの切り口として、ドイツの哲学者・ニーチェの思想と比較してみたい。『ツァラトゥストラ』では、強さを求め、自ら運命