先日、ラジオを聴いていたら作家の平野啓一郎さんが「小説の電子化って大変なんです。ぼくの作品のライバルがトルストイになったりするんですよ」とか話していました。どういうことかというと、ネット社会以前は当然ですが小説は印刷物としての「本」の形でしか存在しなかったので、ある程度時間が経つと、絶版になったり、当然物理的に流通量が減ってきて、その本と読者が出会う機会が損なわれてくるわけです。それに代わって新しい小説家が登場し、読者がその人の作品にふれる機会が増えることで、新しい小説家は経済的に自立していくわけですが、最近はそれが難しくなっているというわけです。つまり過去の作品がどんどんデジタル化されるために、過去の作家と現在の作家の作品が同列化され、新しい小説家にとって過去の人も十分ライバルになりうる状況が生まれている。平野さんの先の発言はそういう文脈から発っせられたものでした。 一見、デジタル化で市