こうした状況はイノベーターにとって良いことのように思われ、実際に多くの点で恩恵をもたらしてはいる。しかし同時に、「行動からしか学べない」という感覚を助長してもいるのだ。分析ばかりして何も行動を起こさないという、大企業にありがちな病はたしかに避けなければならない。だが思慮を欠いたアクション偏重もまた望ましくない。むしろ、こちらのほうが危険とも言える。事前に検証しておけば気づける落とし穴につまずいて、時間と金の両方を浪費するからだ。 実用最小限の製品(Minimal Viable Product)を市場に投入する前に、少なくとも次の事項を必ずやっておこう。 ●自社の目指す製品やサービスと同等のもので、商業的に苦戦したものを探し出し、その理由を考える。自社も同じ轍を踏もうとしているかもしれない。 ●検討中の事業領域に大企業が進出していなければ、その理由を考える。それらの企業が知る何らかの事情を、