来年のNHKのスペシャルドラマは「坂の上の雲」だという。坂本龍馬が終わったと思ったら、今度は日露戦争。NHKがこういう明治時代の話ばかりドラマにするのは、人々の中にあのころの日本へのあこがれがあるからだろう。「光の道」をめぐる議論でも、専門家は誰もソフトバンク案を相手にしなかったのに、多くの「追っかけ」が孫正義氏を龍馬に見立てて「国を変える」運動に集まった。 こういう群衆心理はわからなくもない。もう20年にわたって展望のない日本経済を一発で改善する「魔法の杖」があるのなら、それを使わないのはおかしい。しかし日本の社会資本整備率は先進国の平均を超え、光ファイバーの普及率も世界一だ。過剰なインフラにさらに投資しても、成長率が上がることはありえない。10年後に何が最適なインフラかは、誰にもわからない。 今までは経済発展という坂を上った先に欧米の先進国という雲があったので、やるべきことは簡単だった
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