ドイツサッカー誌的フィールド 皇帝ベッケンバウアーが躍動した70年代から今日に至るまで、長く欧州サッカー界の先頭集団に身を置き続けてきたドイツ。ここでは、今ドイツ国内で注目されているトピックスを気鋭の現地ジャーナリストが新聞・雑誌などからピックアップし、独自に背景や争点を論説する。 今回は、トルコ軍のシリア侵攻がドイツとドイツサッカー界に投げかけた大きな波紋。 スポーツ界の要人たちはこれまで、巨額のカネを妨害されることなく動かし自分たちの権力基盤を強化するため、スポーツと政治は切り離して考えようと唱えてきた。しかし実際には、ビッグトーナメントは常に政治的メッセージを発したり、力を見せつけたりする舞台となってきた。 ところがこの秋、EURO予選アルバニア戦で得点後にトルコ代表選手が見せた“敬礼”が、大きなダメージを引き起こした。選手たちはシリアでクルド人を攻撃している兵士たちとの連帯を示し、