ただ、最低賃金の国際比較を行うと、わが国の最低賃金の水準は主要先進国を下回っている。1990年以降の約30年間、わが国企業は生産性の向上を実現することができなかった。生産性とは、企業の稼ぎ=付加価値を人件費で割った数字だ。つまり、どれだけの人件費を使って、どれだけの儲もうけを上げたかを示す数字だ。 今後も賃上げを続けるためには、どうしても生産性を上昇させることが必要だ。企業経営者は、消費者が欲する製品・サービスを、できるだけ高い価格で提供することで付加価値を引き上げることを目指す必要がある。そして、儲けられる分野に経営資源を配分し、相対的に高い付加価値を実現することだ。 政府はそれをサポートするため、国全体の成長戦略を明確に示すべきだ。経済全体で生産性が上昇するか否か、中長期的な賃金と個人消費の回復に決定的な影響を与えるだろう。 上場企業の純利益は3期連続で過去最高 2024年度、加重平均