多額の報酬で社員OBを抱き込まれ、鋼板製品に関する最先端技術を盗用されたとして、新日鉄住金(東京)が韓国の鉄鋼最大手ポスコを相手取り、不正競争防止法に基づき986億円の損害賠償や同製品の製造・販売の差し止めなどを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、東京地裁(高野輝久裁判長)であった。 ポスコ側は「盗用の事実はない」と請求棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。 盗用の疑いがあるのは、発電所の変圧器などに使われる「方向性電磁鋼板」の製造技術。新日鉄住金が40年以上かけて改良を重ね、「営業秘密」として管理してきた技術だが、2007~08年、中国の製鉄会社への秘密漏えい事件で韓国検察に逮捕・起訴されたポスコの元研究員(有罪確定)が、「漏えいしたのは新日鉄の技術」と供述したことで、盗用の疑いが発覚した。