以前、芝浦工業大学のシステム工学部(現システム理工学部)の創立20周年式典に、芝浦工大卒業生として参加した。その際に聞いた基調講演によると、創立当時は日本にカタカナを使った学部名がなく、文部科学省など関係各所での承認が高い障壁になっていたという。システムという名称に反対する最大の理由は、対応する日本語がないことだった。当時、創立に関わった芝浦工大の関係者が「システム」という名前にこだわり、カタカナ学部の創設に奔走したという苦労話に、日本の慣習と時代を感じた。 システムに対する日本語が何故存在しないのか。答えは日本の産業がかつて発展途上国だからスタートしたことと無関係ではないだろう。日本は既に存在している製品や技術を模倣し、追いつけ追い越せとより良いものを安く作るスタイルで成長してきた。何もない不確実な状態からものごとを考えて全体を組み上げていく経験が、日本全体としては定着しなかったことが考