今回は「誤差」編です。 誤差について説明するためには、どうしても「観察(observation)」の次元に話を差し戻す必要があります。前回に引き続いて「年収」を説明するための観察をする場面を考えます。次のように考えてください。 年収の観察値 = 性別 + 年齢 + ... + 学歴 + 様々な観察要因 最後の「様々な観察要因」ですが、いわゆる標本抽出(サンプリング)による値への影響はさしあたりここに入ります。とはいえ、観察要因による観察値への影響は標本抽出からのみ生じるわけではありません。というより、「センサス(全数調査)/標本(部分)調査」という区別はある程度便宜的な区別なのです。 ある値(年収でもなんでも)が観察されるということは、特定の手続で、特定の時間と場所で行われたときの観察値です。観察という手続を「人」単位で考えたとき、対象「者」全員を観察することはセンサスですが、そうして観察