【ワシントン=山本秀也】日中戦争中の南京事件(1937年12月)から70周年を13日に控え、北米の華僑界では事件を糾弾する映像作品などの発表が相次いでいる。日中関係をにらんで中国国内の動きが比較的抑制される半面、海外での動きが突出したかたちだ。とりわけ、今年1月に発表された米ドキュメンタリー映画「南京」が、次期アカデミー賞の有力作品に挙げられ、影響を広げる気配だ。 「南京」や後続の作品は、ほぼいずれも在米の中国系女性作家、故アイリス・チャン氏の著書「レイプ・オブ・南京」を題材に取り込んでいる。おびただしい史料の誤読など、同書の欠陥は海外の大衆レベルでは度外視され、30万人の虐殺や8万人の婦女暴行という極端な数字だけが、映像作品を介し“真実”として再生産されつつある。 カナダで新たに制作された映像作品は、「アイリス・チャン レイプ・オブ・南京」という直截(ちよくせつ)なタイトルだ。華人女優オ