◆ローラ・J・スナイダー著、黒木章人訳 (原書房・4104円) 天才つなぐ“人工の眼” 同じ年の同じ街に、二人の天才が生まれた。一人は日本でも人気の高い画家、フェルメールだ。もう一人は、微生物を初めて発見した「微生物学の父」、レーウェンフック。歴史と哲学を専門とする著者が、一七世紀のネーデルラント(現在のオランダ)の小都市、デルフトで生きた二人の生涯を詳細にたどりながら、彼らの共通性を探る。 この二人が知り合いだったという説は繰り返し登場する。一時期は、互いの住まいが、歩いて三分ほどで行き来できる狭い一角にあったという。フェルメールの死後、レーウェンフックがフェルメールの遺産管財人となった記録も残っている。しかし、二人が知り合いであったことを示唆する決定的証拠はないのだ。本書は、両者が知り合いか否かにはさほどこだわらず、フェルメールとレーウェンフックがともに最新の光学機器を用いた、「…
(東京大学出版会・9504円) これまでのガーンディー論を一新 インド独立の父・ガーンディー。彼の思想実践の一つに、ブラフマチャリヤというものがある。これは「禁欲」による性欲統制のことだが、ガーンディーはその実践を、インドの独立と連関させて説いた。 ガーンディーは「独立」を語る際に「スワラージ」という語を使用していた。スワは「自ら」、ラージは「統御」「統治」を意味する。ガーンディーは、自らの肉体や精神の統御とインド独立を一体の存在として認識し、その重要性を主張していた。 しかし、従来のガーンディー論の中で、彼のブラフマチャリヤの実践が議論の中核を占めることはなかった。むしろ意図的な等閑視が続いてきたと言える。ここにはガーンディーをめぐる一種のタブーが存在する。ガーンディーはブラフマチャリヤの実験として、晩年、側近女性と裸で寝床を共にするという行為に及んだ。これは欲望を放棄した聖者というイメ
「良き首相秘書官は余計な記録やメモを残さない」「面談中の首相の発言の記録はご法度だ」--。毎日新聞が首相と省庁幹部の約1年分の面談記録などを情報公開請求したところ、首相官邸にも省庁側にも議事録は「不存在」などとされた。なぜ、記録を残さないのか。首相秘書官経験者や省庁幹部らは、官邸や中央省庁の文書管理の一端を明かした。【大場弘行、松本惇】 「総理秘書官は見たものも聞いたことも、自分の頭の中に収めるだけにする。いつでも記録を消し去ることができる『黒板』みたいな存在が理想とされている」
大阪市西成区のあいりん地区で労働者の日常を50年前から記録し続ける地元のカメラマン、中島敏(さとし)さん(71)が14日、インターネット上で写真を保存・公開する「フォトアーカイブ」を開設する。1969~95年に撮影した写真およそ1万枚分のネガフィルムをデジタル化し、順次公開する。かつての労働者の暮らしぶりや変わりゆく街並みを伝える貴重な資料で、専門家は「これだけ長期間、定点観測した記録は珍しい」と指摘する。 中島さんは写真の専門学校を卒業後、プロカメラマンの助手になったが、人間関係に悩んで半年ほどで写真家になる夢を諦め、アルバイト生活を始めた。その後の69年、日雇いの仕事を求めてあいりんに移り住んだ。翌年に大阪万博を控えた時代。パビリオン建設などの仕事は高給で、中島さんの日当は3倍になった。
各府省の行政文書不開示決定通知書。中央は総務省の通知書。首相との面会に関する文書は「不存在」と記されている=東京都千代田区で2019年4月10日撮影 安倍晋三首相と省庁幹部らとの面談で使われた説明資料や議事録などの記録約1年分を毎日新聞が首相官邸に情報公開請求したところ、全て「不存在」と回答された。官邸が記録の保存期間を裁量で廃棄できる1年未満に設定していることも判明した。官邸の担当者は「記録は政策を担当する省庁の責任で管理すべきだ」と説明したが、重要とみられる16件を抽出して府省側に同様の請求をしたところ、10件については説明資料の保有を認めたものの、どの府省も議事録の保有を認めなかった。識者は首相の政策判断の検証に必要だとして、記録を残すルール作りを求めている。 政府は2017年12月、森友・加計学園問題などを受けて公文書ガイドラインを改定。官邸を含む府省庁に、政策や事業方針に影響を及
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