空前の時計ブームが続いている。数百万円するロレックスの腕時計が飛ぶように売れ、さらなる高値で転売されていく。ブームの拡大は時計を扱う関係者に大きな利益をもたらしたが、同時にリスクも抱えるようになった。「時計=資産」との考えが広がり、今では時計店が強盗や窃盗の被害にあうことは珍しくない。「ここ数年はどんな時計も売れていった」。そう語る中古時計店オーナーの男性も盗難被害にあった一人だ。彼の話を聞いていると、現在の日本の置かれた立ち位置も見えてくる。 東京都内にある、この男性の店で窃盗事件が起きたのは3年前。深夜に2人組の男が侵入し、2000万円相当の時計が盗まれた。 「警備会社と契約し、二重扉にしていたが駄目だった」。防犯カメラには覆面の男に蹴られて扉が飛ばされる瞬間が映っていた。 実行役の2人は逮捕されたが、犯行を指図していた「指示役」は今も捕まっていない。一連の闇バイト事件の走りのような事