(藤原書店・3300円) 女性作家の人生模様、多彩に 女性の視点で近代日本文学史を新たにとらえ直す作家・評論家は数こそ少ないが名手ぞろいである。 明治末の女性革命運動・青鞜と、青鞜社員達の波乱の生を評伝小説で追う瀬戸内寂聴。千駄木団子坂に住んだ森鷗外の歩調を再現し、『鷗外の坂』を書いた森まゆみ。『パンとペン』で堺利彦の愛の社会主義を照らす黒岩比佐子。 本書の著者、尾形明子もその一人である。古雑誌をこつこつ探り、長谷川時雨・林芙美子・宇野千代など既成の社会ルールに反抗して時代を生きぬいた女性作家の活躍に光を当ててきた。