◆暉峻淑子(てるおか・いつこ)著 (岩波書店・2530円) 承認の病は鏡の歪み…それは社会の歪み 承認が病んでいる。一方には「いいね」など共感を可視化して承認欲求をかきたてるSNSの仕組み。他方には「モリ・カケ・サクラ」事件や日本学術会議任命拒否など政治権力による恣意(しい)的な承認/不承認。言うまでもなく、社会的な生き物である人間にとって、承認はなくてはならないものだ。他者という鏡に映すことで自分を知り、生きていることの意味を自覚できる。承認の病は鏡の歪(ゆが)みであり、鏡の歪みは社会の歪みである。 承認の本質は相互承認である、と著者は言う。これは「先生が生徒を褒める」ような承認とは違う。褒めることは確かに生徒のやる気を引き出すかもしれないが、それは教師が求める基準に合わせて生徒を成型することになりかねないからだ。承認にとって重要なのはむしろ、生徒が出来てもまつり上げないし、出来なかった