(共和国・2970円) 建て付けの悪い扉をこじあける道 日本と韓国。建て付けが悪く開かなくなった扉のように、両国の歩み寄りを阻んでいるものがある。対岸の国を、20世紀前半の歴史というレンズを通してのぞいてしまう傾向は、2024年の今も、顕著である。もちろん、加害と被害という点では、立場は逆。扉をこじあける方法はないのだろうか。1979年生まれの社会学者が模索する。 「敵産」と見て、一読を思いとどまることなかれ。どの嫌韓本にもない洞察、どの韓流ドラマにもない興味深いストーリーが待っている。主役は、韓国第四の都市大邱(テグ)の北城路(プクソンノ)の人々、そして市民運動の立役者たちである。長年の実地調査をもとにした6篇の論文を加筆修正して一冊にまとめた本。理論の考察にも紙幅が割かれているが、臨場感があり、読みやすい。金成玟(キムソンミン)や林志弦(イムジヒョン)…