★遠雷/根岸吉太郎(1981年) 30年ぶりにみたが、やはり傑作。 80年代に中途半端に都市化していった田舎でウダウダしていた若者のことなら、私はよく知っている。だから断言していい。そんな兄ちゃん姉ちゃんなんて類型的で保守的で思慮深くもなく、ただただつまらない。ところが、永島敏行と石田えり そしてジョニー大倉に憑依した、そのどうしようもない若者たちは、なぜかことごとく素晴らしい輝きを放つ。 石田えりの、ちゃっかりとしてあっけらかんとした姉ちゃん。永島敏行の、ほとんど考え込むことも悩みぬくこともない兄ちゃん。彼らにすれば、男と女がくっつくことはこの世で最も簡単かつこの世で最大の快楽と幸福であることは自明。「みんな楽しくやってるわよー」これは石田えりの台詞。そうだあのころ、たぶんみんなそんな感じで楽しくやっていた。私はもうちょっとヘンなぐあいにもがいていて損したかもしれない。 クレジット前のラ