この秋公開の映画「七夜待」。主人公の彩子が30歳になったことをきっかけに人生のリセットのため、タイへ一人旅。この映画ではタイの豊かな自然、旅先で出会った人々、そしてタイ式マッサージを通して身体も心も癒されていく主人公の姿が描き出されています。今回は主演の長谷川京子さんと河瀨直美監督に本作品についてお話を伺ってみました。 ―― 河瀨監督がこの作品で30歳の女性を主人公にした理由を教えてください。 河瀨「長谷川京子さんを主人公と決めた時点で彼女の等身大の姿が描ければと思い、長谷川さんと同じ30歳を主人公の年齢にしました。30代の女性が持つ悩みというのは、20代前半で持つ夢や希望に対する悩みではなく、もう少し個人的で内面的な悩みが多いのかと思います。現在は情報過多の時代で、女性たちはすごく疲れていて、表面上の美しさを追い求めるあまり、ありのままの姿が現れにくくなっています。本当の自分とは少し