1 リテールバンキングにおける決済の位置付け 1-1 リテールバンキングと決済 不良債権処理が一段落を迎えた今、銀行は中小企業や個人に対するリテールバンキングを収益の柱とするべくサービス強化の動きを本格化させている リテールバンキングは、個人や中小企業顧客に対して「決済」、「融資」、「預金」という銀行の基本業務を提供するものである。 これらの業務は、一見、それぞれが独立した業務のように見えるが、「融資」と「預金」が、「決済」に時間的価値を付加している側面に着目すると、リテールバンキングは「決済」を基本とするビジネスと捉えることができる。 こうした観点に立ってみると、今後、銀行は新たな決済手段やプレーヤーが登場すると見込まれる決済ビジネス領域において、明確な戦略を持つことが極めて重要になる。 1-2 決済手段の多様化と機能分解 近年、電子マネーや携帯クレジットといった新しい決済