千年の都・京都には、他の都市では逆立ちしても勝てない業(ごう)がある。とりわけ江戸中期から急速に発展した「木屋町」という一画は、もともと米や塩などの商業者で賑わっていたが、いつしか茶屋、料理屋や旅籠屋で賑わう一大歓楽街となり、幕末には長州や土佐などの藩邸も建てられていた。 ・新撰組による池田屋事件 長土藩の両者が登場すれば、話が血なまぐさくなるのはこの時代の宿命。1864年、あの佐久間象山が河上彦斎(かわかみ げんさい・幕末の四大人斬りの一人)たちに暗殺され、新撰組による池田屋事件が起き、さらには日本の軍制を整えた大村益次郎が刺客に襲われ落命したのも木屋町が舞台である(1869年)。 おまけに暗殺の数日前まで坂本龍馬が常宿としていたのも木屋町であるなど、この一画を抜きに幕末は語れないほどだ。 ・手足のない元ヤクザ役に遠藤憲一 今は、高瀬川が静かに流れ、春は桜で水面を彩る観光スポットにもなっ