社員が逮捕され、シロクロがはっきりしない段階に、所属する企業がどんな対応をするべきか。こうしたクライシス状況を具体的に想定した役員向け広報メディア対応の研修をこれまで数多く手がけてきましたが、この問いに対してすぐに明快な答えを出せる人は、決して多くはありません。 だからこそ、このタイミングは捜査の結果が出た後よりも企業の対応やその内容に差が出やすい。逆に言えば、「あの状況になった時に、どうすればいいか」の答えを多くの経営層の人たちは知りたがっています。 その観点で、トヨタ女性役員の麻薬輸入事件におけるトヨタの対応は1つの模範解答と言えます。 1.「信じる」というメッセージ6/18(木)米国から麻薬を密輸したとして、警視庁がトヨタ自動車の常務役員ジュリー・ハンプ氏を麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕しました。 その約4時間後にトヨタは声明を出します。 「ハンプ氏の逮捕について承知しておりますが