ほそく 2019/2/19 追記: 当初"false sharing"と書いていたのはすべて誤りで実際は"キャッシュのスラッシング"でした。すいません。 はじめに 本記事は、AMD社のRyzen1800x(以下1800xと記載)においてキャッシュのスラッシング(以下スラッシングと記載)が発生する様子を実験によって確かめた結果をまとめたものです。スラッシングとは、あるキャッシュメモリの内容を書き換えたとき、キャッシュメモリに保存されているデータの整合性を保つために、別のキャッシュメモリの内容を無効化する、というしくみが頻繁に繰り返されることです。 CPUの構成 1800xにはCCXと呼ばれる4コアを搭載したダイが2つ乗っています。ダイの中にはコアが4つ入っており、かつ、コアの中には2つのハイパースレッドが存在します。これを、Linuxが認識する16の論理CPUの番号と対応付けたのが次の表です