羽生善治さんの新著「大局観 自分と闘って負けない心」を読みました。本書は、羽生さんの棋士生活二五年のまとめとして執筆されたもので、勝負に対する考え方が書き綴られています。「大局観」とは全体を見て状況を把握し何をすべきかを判断することです。将棋は「読み」と「大局観」のゲーム。がむしゃらに読み込む力は若い棋士が上ですが、経験を積むほど精度が増す大局観によって、互角の勝負にもっていけると羽生さんはいいます。本書はこの大局観だけでなく、集中力の鍛え方、負け方、運・不運など、さまざまなテーマが独自の視点で語られていて、新書としてはとても読み応えがある本でした。ブログの表題とした「リスクを取らないことは最大のリスクである」というのは、本書の一つのトピックから引用したものですが、「リスク論」として実に面白いことが書かれています。