なにやら怪しげなタイトルでどんな本だろうと手にとると、著者はテレビのバラエティ番組のプロデユーサーで、担当している番組が「ロンドンハーツ」と「アメトーク」だという。著者紹介の写真もロン毛でちょっとチャラい感じもして本もチャラいのかと思ったらそうでもなかった。「たくらむ技術」(加地倫三著 新潮新書)は、テレビ番組制作の裏もわかっておもしろかった。 何よりも、著者の性格が滲み出るような文章で外見とはちがうまじめさに好感がもてる。おそらくそうした人柄の良さで番組出演者やスタッフから信頼されているから、人気も博し、長続きするのだろう。結局、派手に見えるような世界でも根っこのところはどの世界とも共通であって、最後は人間としての魅力によって、健全な組織、アグレッシブなチーム力が形成されるのだろう。 最初に番組の作り方が紹介されていて、例えばアメトークにしても、テーマを決めて芸人さんを連れてきて、ひな壇
■ 開発で失敗することはあるのか またちょっと脱線します。よく「開発に失敗しないためには」とか「成功のための守るべきこと」と言ったような語られ方をする。ということは当たり前だが失敗することがあるからそう言うのだろう。ところで、業務システム開発で失敗するというのは何を意味しているのだろうか。すなわち、受託開発で失敗するのはどういう状態をいうのか。プロダクトを開発する場合はほとんどが売れないことが失敗だろう。 ところが、受託開発では買ってくれるのは前提なのだから、言われたものが作れなかったことなのだろうか。そうしたケースはデスマーチになりながらも何とか納入はするのではないだろうか。それでも出来上がればプロジェクトとしては失敗ではないかかもしれない。(中にはスルガ銀行とか特許庁の例もあるし、ぼくも経験があるが)となると、作ったはいいが使われなかった、あるいは使えることは使えるのだが所定の効果がで
いま、決算のラッシュで各社の成績が報告されているが、アベノミクス効果なのか、好決算が増えているようだ。特に、円安で自動車を初めてとして輸出企業が、株価の上昇で証券会社の調子がいいようだ。しかし、実体経済があまり変わっていないのに、為替や株価で企業業績が左右されるといういうのもおかしな話ではある。 こうなると、経営者も環境変化に一喜一憂したり、神風を期待したりすることになりかねない。そうではなくて、本質的な改革をしながら、あるいは変化に対応しながら会社を成長させるというのが大事な使命であることを肝に命じなくてはいけない。しかしながら、日本の大きな企業の経営者の多くが会社を変えようとは思わないのではないだろうか。今の状態をなるべくいじらないでそのまま踏襲していこうという心理が働いたり、変えるにしても内向きの縮小均衡へ持って行ったりする やはり、現代では絶えず変化を与え、成長していくことが求めら
企業にソーシャルネットワークシステム(SNS)を入れる動きが急だ。あのIBMもエンタープライズソーシャルウエアなるものを出している。はたして、個人の生活に入り込んだように会社の中にも浸透するのであろうか。 その成功のキモというのがあって ① 社員自身による情報発信の促進 ② 社員・ナレッジの自然な可視化 ③ ナレッジの流通スピードの加速化 ということだそうだ。どうもいつか来た道のような気がする。もう10年以上前にもナレッジマネジメントというものがあった。しかし、あれから各企業に浸透したかというとあまりそういった話は聞かない。ぼくも、その当時あるNTT系のシステム開発会社が盛んにやっていておもしろいから見に行ったらと言われて、教えてもらったことがあった。 その会社は開発会社だから、システムエンジニアに対して、自分のもつ知識やノウハウを開示する仕組みを作った。しかし、そこでただあなたの知識を出
先日、WindowsユーザーからMacユーザーへ乗り換えてみてアップルのこだわりとか先進性や使い勝手にちょっと驚きながら気に入ったので、そのアップルで働いていた日本人が書いた「僕がアップルで学んだこと」(松井博著 アスキー新書)を手にする。 著者は、1992年にアップルジャパンに入社して、その後2002年から7年間米国本社勤務となり、そこでは7年間管理職として働いている。日米通算で16年間アップルに在籍したことになる。ですから、スティーブ・ジョブズの復帰前と復帰後を体験しているわけで、その変化が激しかったのでその比較からより鮮明にアップルの良さと悪さをわかっている。 ジョブズが追放されたあとのアップルはひどかったらしい。著者の言い方では「船頭のいない船」だったそうだ。会社の方針を誰も知らない、みんなが好き勝手にプロジェクトを作っていて、それも真面目に企画したとは思えないものばかりだったとい
▐ システム化のねらいどころが変わった 前回、前々回と、違和感ということで「顧客志向の欠如」という指摘をして、お客さんを意識した見方をする必要があるという話をした。今回は、もうひとつの「時代錯誤」という点について考えてましょう。「顧客志向の欠如」というころでも顧客ニーズが時代とともに変化しているといった似たような話が出てきたかと思います。ここでは、システム化のねらいどころが変わってきていることについて論じることにします。 「時代錯誤」を別の言い方をすると「SEのシーズと顧客ニーズのミスマッチ」ということになります。すなわち、お客さんの望むものが昔と変わってきているのに相変わらず昔のSE像を引っ張り出しているということである。いや、SE自らが変われと言っていると反論がきそうですが、どうも表面的なところであって本質的にはSEという枠からは出ていないのである。 ユーザがシステム化したいことに対し
様々な議論で落ち込む落とし穴がある。議論の対象となっている領域を間違えるあるいは噛み合わないことである。これでは、戦うリングが違うから殴り合いにもならない。5W1HでいうとWhereを取り違えることである。このことはどこの局面にも転がっていて、意外とこのWhereをおろそかにするケースが多くあることに気づく。大きくは、アベノミクスで金融の話と財政の話を混同したり、原発のリスクとエネルギー問題を冷静に議論できないといったことが起きる。 つまり、多くの場合論点が定まっていないところで議論するものだから結局は空中戦になって何だか分からないで終わってしまう。ただの議論で満足するならそれでいいのだが、結果を出さなくてはいけない時には困ってしまうのである。目的(Why)とか構造・機能(What)とか方法(How)、スケジュール(When)といったことは熱心なのだが、意外に見落としがちなのが、今一体どこ
これはいい本だ。「知の逆転」(吉成真由美インタビュー・編 NHK出版新書)は現代の知の巨人たちのインタビューをまとめたものである。6人の巨人たちが登場する。ジャレット・ダイヤモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンといずれ劣らずすごい人ばかりである。 6人へのインタビューを新書に載せてあるので、これほどの人たちを50ページ足らずで理解するなんてことはとんでもないことのだが、彼らの著作とか業績を本格的に探ってみたくなる。それだけ、的確な質問を投げて答えを引き出している。インアタビュアーである吉成真由美が素晴らしい。それはそうかもしれない。MIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業して、ハーバード大学大学院を出ている才女でサイエンスライターという職業にある。だからかどうか知らないがMITの教授が多い。 簡単に印象に残った部分を紹
ちょっと前に「日本型リーダーはなぜ失敗するのか」という本の書評を書いたが、結局あの戦争で敗北に導いたのは、これぞというリーダーが不在だったことが大きかったことです。なぜそうなったのかは日露戦争に遡ります。日露戦争の奇跡とも言える輝かしい栄光を引きずってしまったことがそもそもの始まりだったのだ。そこで、参謀まかせの「太っ腹リーダー像」が生み出されたわけです。これはいまだに残っていて、細かいことは言わない、良きにはからえ的なリーダーの存在である。 そうした日本型のリーダーシップを改めるべく、本来あるべきリーダーとしての条件が本には提示されていたが、ここで取り上げるのは「焦点に位置せよ」ということについてである。上に立つものは自分が絶えずどこに位置しているのか明確にせよということなのだが、「われここにあり」という好例として戦争終結という難しい時期に陸軍大臣として内閣にいた阿南惟幾のことが書かれて
サイボウズの「kintone」がバージョンアップした。かなり大きな変更もあってずいぶんと機能が向上した。その主な追加機能を列挙してみる。 ・ グループ内での連絡に使用する機能(スペース機能) ・ kintoneのユーザー同士の連絡や、アイデアなどの共有に使用する機能(ピープル機能) ・ Excelブック形式、またはCSV形式のファイルを読み込んでアプリを作成する機能。 ・ JavaScriptファイルを読み込んで、アプリの表示や動作をカスタマイズする機能。 ・ フィールドをグループ化して、グループ内のフィールドの表示/非表示を切り替えられるようにする機能。 ・ フォームに配置できるフィールドの種類に、ほかのフィールドの数値や時刻を基に計算する機能を持つ「計算」フィールドを追加。 ・ フォームに配置できるフィールドの種類に、ほかのフィールドの数値や時刻を基に計算する機能を持つ「計算」フィール
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