改正生活保護法が昨年12月に成立し、7月から施行される(一部を除く)。改正法では、保護申請時に申請書や関連書類の提出を義務付けるなど、手続きが厳格化される。生活保護制度の研究者として、改正法に反対の立場をとってきた県立保健福祉大講師の岩永理恵さん(36)は、施行を前に「困っている人に寄り添う気持ちで対応を」と訴える。 改正法審議は盛り上がらなかった、と感じた。正確には、「改正案は保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼす」と反対を唱える弁護士グループやNPO法人と、「改正後も申請手続きの実態は変わらない」と繰り返す政府の議論は、全くすれ違っていた。 そもそも申請書を書く以前に、窓口にさえたどり着けない人がかなりいる。たどり着いた福祉事務所の窓口でも、さまざまな理由を付けて申請を拒む“水際作戦”が立ちはだかる。日本の生活保護の捕捉率(本来受給できる人のうち、現に利用している人の比率)は2~