文学の実装に関する試論 物語世界の登場人物、およびその固有名の、オブジ ェクト指向プログラミング言語による設定について 赤間啓之、三宅真紀 東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻 Email:{akama, mmiyake}@dp.hum.titech.ac.jp 概要 物語世界をコンピュータ上で自動生成するシステムを構想するにあたり、フィクションとしての 物語が存立する場を問う哲学的議論、とくに、いわゆる「可能世界」をめぐってその根源的な条件を追究 する議論は、きわめて重要である。Saul A ・Kripke は、『名指しと必然性 様相の形而上学と心身問題』に おいて、可能世界論という形で、まさしく登場人物の固有名に関する哲学的な問題を取り上げた。われわ れは、それに対し、コンピュータサイエンスの分野において、ことにオブジェクト指向プログラミング言 語の中に、その問題を