短期休職1日目。1月下旬の月曜日の午前11時。 グランドブレーカーの堺俊明は、自宅近くの喫茶店でぼんやりと座っていた。10時の開店時に入店してからすでに1時間。注文したコーヒーはすっかり冷め切っていた。 上司の大塚マネージャには、先週の金曜日に「とにかく来週は、月曜日から3日間休みをとって体調を治してから出社せよ」といい渡された。 土曜日と日曜日は自宅マンションを出ることなく、普段の週末のように寝たり起きたりで時間をつぶすことができたが、習慣とは恐ろしいもので、月曜日の今日は午前7時に目が覚めて、とにかく自宅を出なければいけないという気分になった。しかし、自宅を出たものの、上司の命令があるので会社に行くわけにはいかず、仕方なく、いつもは足早にとおり過ぎるだけの喫茶店に入ってみたのである。 しかし、入ってみたはいいものの、何もすることがない。何もする気がしない。堺は、いつものように“灰色のガ