競泳ジャパンオープン2008の女子200メートル自由形・決勝。スピード社の水着がずらり=6月6日(奈須稔撮影) 世界記録を連発し、「競泳の歴史」というよりも、「競泳水着の歴史」を塗り替えた英スピード社製レーザー・レーサー(LR)問題。日本水泳連盟が、ミズノ、アシックス、デサントの国内3社との契約を覆して日本代表選手もLRを着られるようにしたことで、日本中が注目した騒動は一応決着した。だが、ハイテクを誇ったニッポン製造業の惨めな“敗北”に、後味の悪さは否めない。極薄水着のLR騒動から透けて見えたのは、技術偏重・情報軽視という日本企業特有の弱さや、競泳界と国内メーカーという狭いムラ社会にみえる甘えの構造だった。ミズノの動揺 今回とりわけ苦い思いをしたのが、日本のエース・北島康介選手と契約するミズノだろう。ミズノの受けたショックは、他の2社とは比較にならない。それは、「誤算」が重なる悲劇のドラマ