人は1日に1万弱の判断をしている、と何かの本で読んだことがある。朝起きて会社に行き、仕事をして昼飯を食べ、同僚と酒を飲み、家に帰って布団に潜り込むまでに1万弱。ふつうの1日の中で、僕がそんなに大量の判断をしているとは到底思えないが、専門家によると、人は皆それをしているのだという。 改めて考えてみたが、 「これは判断である。今、俺は判断をしている」 と意識するほど大きな「判断」は、人生の中でも数えるほどしかない気がする。 とりわけ、僕たちの心の中で大きな比重を占める判断のひとつが、仕事に関する判断だ。 というか、仕事はそれ自体、もはや「判断」である。 僕が他社の編集者仲間と飲んだ居酒屋で1万円の領収書を貰うか貰わないかを決めることから、大経営者が1兆円でM&Aをする決断を下すことまで、仕事はすべてが判断の連続だ。 さらに言うならば、サラリーマンの場合、僕を含むすべての人は、なにがしかの判断を