アイスランドの火山噴火で発生した火山灰による欧州の航空網のまひが地球規模に拡大し、ヒトとモノの流れの寸断がなお続いている。一時は火山灰が欧州の大半を覆い、ロンドンやパリ、ミュンヘンなど主要空港が、軒並み閉鎖に追い込まれた。 欧州連合(EU)が飛行制限の段階的解除で合意したのを受け、運航正常化の見通しも浮上した。しかし、噴火活動が再び活発化したとの報告もあり、予断を許さない状況である。 国際航空運送協会(IATA)の試算では、世界の航空業界の損失は1日180億円を超える。すぐにでも正常化にこぎつけたい事情は理解できる。しかし、飛行制限の全面解除の判断には安全を最優先すべきだ。 今回の噴火は、予期せぬ事態にいかに対応すべきか、各国に危機管理のあり方を鋭く問いかけたといっていい。中でも日本の対応が遅れた感が否めない。 火山灰が広がった今月中旬、欧州で足止め状態になった日本人旅行客は約1万2千人と