北朝鮮の拉致被害者の有本恵子さんの安否について言及したジャーナリスト田原総一朗氏の発言をめぐる慰謝料請求訴訟で、大阪高裁の安原清蔵裁判長は、田原氏が外務省幹部への取材内容を録音したテープの提出を命じた神戸地裁決定を取り消した。決定は20日付。 田原氏は2009年4月のテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ!」で、有本さんら拉致被害者について「外務省も生きていないことは分かっている」と発言。有本さんの両親が同年7月に慰謝料1千万円を求めて提訴し、田原氏が発言の根拠として外務省幹部への取材(08年11月)を録音した53分40秒の取材テープのうち6分42秒にあたる部分を文書化して証拠として提出した。 神戸地裁の長井浩一裁判長は昨年10月、テープは民事訴訟法で提出義務がある「訴訟で引用した文書」にあたるとした有本さん側の主張をほぼ認定。「田原氏は文書化にあたってテープを引用し、秘密を保持する利益