他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案について、政府は「国民の命を守るために必要だ」と繰り返している。他国領域で武力行使はできないとしながらも例外的に「中東・ホルムズ海峡での機雷掃海はできる」とする。これに対し、朝鮮戦争の最中に米軍の要請による機雷掃海の関連任務に携わった元自衛官は「ホルムズでの機雷掃海は日本の自衛とは関係ないのではないか」と疑問視している。 (荘加卓嗣) 「日本のためというより、『親会社』のような米軍に忠誠を示すためのどぶさらいのようだった」。朝鮮戦争の際、機雷掃海に関する任務に従事した信太(しだ)正道さん(88)=神奈川県逗子市=は当時を振り返る。 一九五〇年に朝鮮戦争が起きると、米軍は北朝鮮が朝鮮半島周辺海域に敷設した機雷の除去を日本に要請。政府は同年十~十二月、海上保安庁の掃海艇四十六隻と約千二百人からなる日本特別掃海隊を派遣したが、一隻が