出口の見えない欧州債務危機が世界経済に暗い影を落とすなか、ECB(欧州中央銀行)は、無制限の国債買い入れを行なう方針を発表した。金融市場はおおむねこの発表を好感し、危機は一時和らいだかに見えた。しかし、それはあくまで対処療法に過ぎない。経済力も財政状況も違う国々を1つの通貨と金融政策で結び付けて発足したユーロ圏は、すでに制度疲労を起こしている。このような状況では、いつ空中分解を起こし、世界経済に未曾有の打撃を与えるとも限らない。ユーロ圏が立ち直れる可能性はあるのか。もしそれが叶わなかった場合、世界経済にはどんな影響が及ぶのか。国際経済・金融に精通する真壁昭夫・信州大学教授と浜矩子・同志社大学大学院教授が、「ユーロ後の世界経済」について語り合う。(対談コーディネート・記事まとめ/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也 撮影/宇佐見利明) 真壁 欧州危機が世界経済に深刻な不安を与