北京五輪スノーボードの男子スロープスタイルで銀メダル、ビッグエアで金メダルを獲得。一躍スターに駆け上がったシャオミンを導いたのはひとりの日本人コーチだった。国籍の壁、文化の壁を乗り越えて中国スノーボード界に史上初の快挙をもたらした佐藤康弘コーチに、メダル獲得までの労苦と、指導に対する揺るぎなき信念を訊いた。(全2回の1回目/後編へ) 2月20日、北京五輪の閉会式。国家体育場のフィールドに戦い終えた母国の選手団が姿を現すと場内から大きな歓声が上がった。 スー・イーミン(Su Yiming、蘇翊鳴、通称シャオミン)がいて、その隣にはアイリーン・グー(Eileen Gu、谷愛陵)がいる。どちらも今回の五輪で金メダルを獲得した10代のニュースター。中国選手団の最前列。そこは金メダリストだけに許された特別なポジションだったが、今大会の顔とも言える彼らと並んで日本人の佐藤康弘がいた。 10年前、ロンド