「序論」では、この論文で論ずる問題が何であるかを述べる。 この「問題提起」ということが、序論の第一の役割であるが、それに付随して、なぜここでその問題を取り上げるのかを述べる必要もある。 「テーマの意義」の説明である。 その場合、この問題が従来どのように論じられてきたかを示すことによって、その説明とすることが多い。すなわち、研究史の整理に基づく問題点の指摘である。 ただし、研究史については、その整理・展望自体がかなりの記述量を必要とする場合もあり、そうした時には、これを序論の中に組み込まず、本論の中に一章を設けて記述することもある。あるいは、研究史の論述そのものが一編の論文となることもある。 議論の範囲の限定ということも、序論において説明しておくべきことの一つである。 ある一つの問題を取り上げた場合、論点がかなり絞られたものであっても、そのすべてについて論ずることはむずかしい。時間の制約、論