『黒死館殺人事件』も同様の麻薬でした。高校生の夏休み、何と面白いのだろうと読み耽ったことを思いだします。 北村薫「ミステリー通になるための100冊(日本編)」 ――今まで読んできた中で、一番印象に残っている作品は何ですか? 麻耶 『黒死館殺人事件』です。無茶苦茶な話なんですけど、無茶苦茶なりに筋の通った無茶苦茶さが面白かったです。 麻耶雄嵩先生インタヴュー 作家になる前後のころ、夢野久作や小栗虫太郎、久生十蘭なんかをずいぶんと読んだんです。彼らの文章の無駄なまでの過剰性は素晴らしい、これが小説の面白さかもしれないなと思ったんですね。『黒死館殺人事件』なんて、話としては何がなんだかわからないんだけど、やはり言葉がいいというか、言葉に力がある。 奥泉光『モーダルな事象』奥泉光スペシャル・インタヴュー 『黒死館殺人事件』は、私の感じからいえば本格ではないが、なぜそうなのかを考えるとわからなくなっ