『ハート・ロッカー』試写の初日を六本木で見た。開映30分前に着いたのに満席、補助席しかない。評判が高かったとは全然知らなかっただけに、びっくりした。監督はキャスリン・ビグロー。1004年のバクダッドで活躍した米軍爆発物処理班の話。 時限爆弾相手に生命を張る男たちを描いているのだから、出だしからラストまで手に汗を握った。アメリカのイラク侵攻に対する罪悪感がないという批判が出るだろう。だが、対象への凝視力、スケール感、演出力をこれほど兼ね備えた女性監督が、わが国に出現するのはいつのことだろうか。 ◇桂千穂 1929年生まれ。54年、早稲田大学文学部卒。白坂依志夫氏・寺山修司氏に師事。72年「白鳥の歌なんか聞こえない」でデビュー。第1回早川書房SFコンテスト奨励賞、大阪・くまもと映画祭脚本賞、第4回文化庁映画功労賞等、受賞歴多数。シナリオ作家協会主催の「新人シナリオコンクール」で審査員、「シナリ