年金問題は、常に政策の焦点の一つだったが、ここに来て、第一段階の正念場を迎えている。年末で大詰めを迎えている税と社会保障の枠組みの中で、明確に政策論争となるのは年金だ。しかし、結局、政府・民主党は踏み込んだ改革案に突っ込むことができず、中途半端な議論に終わりそうだ。 その理由は、民主党が八方美人で、どの支持層からも負担の増加、給付の減少について実質的に譲歩を得られないことが原因と表面的には感じられる。しかし、失敗の本質は別のところにある。それは、年金問題の本質をわかっていないことにある。これは民主党だけでなく、野党もメディアも学者も同じだ。 年金は、日本の政策論争の中で最も重要で難しい論点だと一般に思われているが、それは大きな間違いである。年金問題ほど単純なものはないのだ。 なぜ単純なのに解決できないのか。 それは単純すぎるからである。 制度を変えれば、誰が得をして、誰が損をする。そして、