2003年、表面処理薬品の中堅メーカー、荏原ユージライト(現JCU)の粕谷佳允社長(当時)は親会社の荏原から「会社を売る」と宣告された。「ちょっと待ってくれ。売るというなら、私が買いましょう」。「カネはどうする」。「カネは天下の回りもの。銀行か証券会社か、あるところから借りてくる」。売り言葉に買い言葉だった。MBO(経営者による買収)から2年で東証2部上場を果たし、07年に東証1部に指定替え。売り上げはMBO前の2・5倍に伸びた。「会社を売るなんて経営者として最低。従業員とその家族の生活を犠牲にするということなんですから」。会社も国家もマネジメント次第。日本製造業の一員として、真正面から安倍首相の成長戦略に注文を付ける。 ――かねて自社のホームページで「安倍首相の成長戦略に疑義あり」とおっしゃっています。 安倍首相の成長戦略は抽象的で具体性がない。これでは国民や企業は動けない。安倍さんに致