ロンドンのとある通りにそのクラブはある。ビリヤード・クラブという名前だが、ビリヤード台はない。それどころか見るべきもの、他のクラブが自慢しているようなものは何もない。ただひとつ、面白い話だけがあるのだ。ジョーキンズという古株の男がいる。世界をあちこち旅してきた男らしく、話の種をたくさん持っている。〈私〉は友人に誘われ、ビリヤード・クラブに出かけていく。その夜ジョーキンズは、アフリカを旅したときのことを話してくれた。その旅で彼は、アブ・ラヒーブと呼ばれる、幻の獣に出会ったのだ。 『ウィスキー&ジョーキンズ』(国書刊行会)の作者は、幻想文学の大家ロード・ダンセイニである。ダンセイニがジョーキンズ初登場作の「アブ・ラヒーブの話」を発表したのは1925年のことで、それから長きにわたって連作を書き続けた。 巻末の訳者あとがきによれば、生前に作品集が5冊、死後の2002年になって未収録作品を集めた第6
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