1944年にブダペシュトを発ち、道中、保管庫に立ち寄ってお宝をごっそり積み込んだ通称・黄金列車。その約4か月に亘る迷走劇を、積荷の管理を命じられた大蔵省の中年職員らの奮闘を軸に描いた傑作。 2020/05/09 【ポスト・ブック・レビュー 著者に訊け!】 第二次世界大戦末期、文官としての交渉術でユダヤ人の財宝を守った役人たちを 硬質な文章で描出する傑作 『黄金列車』 1800円+税 KADOKAWA 装丁/柳川貴代 装画/西村隆史 佐藤亜紀 ●さとう・あき 1962年新潟県生まれ。91年『バルタザールの遍歴』で第3回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。03年『天使』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、08年『ミノタウロス』で第29回吉川英治文学新人賞など、ジャンルや国境を軽々と越えた物語群で読者を魅了する博覧強記の人。音楽にも精通する。「いずれはヨーロッパのどこか、物価がなるべく安い国に